焼きトンで一杯。
今宵は居酒屋焼とり ひでへ。

おいしい話

どんな居酒屋がすきですか?わたしにとって理想の居酒屋は、湯田川温泉の一角にある『居酒屋焼とり ひで』。昔ながらのオレンジ色の電気が灯る店内で、片手に串、もう片方の手にはお酒を持って、日々のなんでもないことをああだこうだと話しながら、たくさん食べて飲んで笑って。昭和の夜にタイムスリップしたような気持ちで、時間も忘れて過ごしたい。

『居酒屋焼とり ひで』は、長年地元の人々に愛されてきた老舗の“焼きトン専門店”です。店内にはたくさんの提灯と手書きのメニューが並び、ひとことでは表せないほどの趣きと、幸せの雰囲気が漂って…。今年の7月に、なんと70周年を迎えたという歴史のすごみが宿っているかのよう。

昭和27年、焼とり『よしみ』の屋号でリヤカーでの販売から始まり、昭和60年、現在の店舗ができた。

カウンターに立つ2代目の秀人さんは、粋で素敵なご主人。

週末は、3代目の直人さんもカウンターに。

看板メニューは、なんといっても豚のホルモンを串にさしていただく“焼きトン”。店名に『焼とり』とあるのに、どうして豚なの?と思うところですが、庄内では“焼きトン”のことを焼とりと呼ぶのが一般的なんだとか。戦後、養豚が盛んになり多くの人が豚肉を食べるようになった頃、はじめは臓物系を好んで食べる文化はなかったといいます。余ってしまうホルモンを、焼とりのように切って串に刺して焼いてみよう!とはじまったのが、『居酒屋焼とり ひで』の前身である、焼とり『よしみ』。これが美味しいと地元で人気になり、70年続いているというわけなんです。

長年の経験ゆえに、提供されるホルモンは質がよく新鮮。どの部位も美味しいのですが、おすすめのメニューを教えてもらいながらいくつかの品をオーダーしました。

乳せん (手前) とハラミ (奥)  。ともに¥130ー

乳せんは、焼とり『よしみ』時代から続く、他のお店ではあまり出会うことのない変わりメニュー。たんぱくで適度な弾力があり、まろやかな脂を感じるやさしい味わいでした。定番部位のハラミは噛めば噛むほど旨味が感じられる濃厚さ。どちらも柔らかくて臭みもなく、ホルモンが苦手と感じている人にもぜひ食べてほしい美味しさです。

ヘラ ¥390ー

串ではなく網焼きで提供される部位もあります。その中でも、毎回欠かさずに食べるほど大好きなヘラ。表面の皮はパリッと焼かれて、噛むごとにコリコリとした食感が楽しめます。塩でさっぱりいただくヘラは、スナック感覚でさくさく食べることができて、おつまみにぴったり。お酒がすすむ一皿です。

もつ煮込み ¥400ー

“焼きトン”専門店のもつ煮込みは期待大。居酒屋の定番メニューですが、もつが柔らかくて格段に美味しい!庄内では味噌味のもつ煮込みが多い中、焼とり『よしみ』時代から変わらないしょう油味が特徴なんだとか。透明感のあるしょう油味のお出汁には、もつの旨味と脂の甘みが凝縮されていました。

カウンターの目の前で、1本ずつ丁寧に焼いてくれる。

手書きのメニュー札を見ながら、食べたいものを探す時間も楽しい。

じゃがピザ  ¥600ー

揚げだし豆腐屋、モロキューなどサイドメニューも豊富。中でもお気に入りのじゃがピザは、こんがり焼いたじゃがいもの上に、とろりと溶けたチーズが乗った大人も子供も大好きなメニュー。なんと今回は、SHONAI Fun!のロゴをかいてくれました。職人レベルの繊細な線にびっくり!希望のメッセージがあればぜひオーダーしてみてくださいね。

かっぽ氷室酒  ¥930ー

食事と一緒に楽しみたいお酒。まずは、氷室酒(ひむろざけ)をいただきました。庄内の地酒を竹筒の中で凍らせた、見た目にも涼しい一品。シャリシャリとしたシャーベット状の日本酒は飲みやすくて…。ひとつの筒に2合入っているそうですが、あっと言う間になくなってしまいました。竹林が有名な湯田川温泉らしい名物メニューです。

すぐにビールを追加注文。瓶ビールは、キリンのラガー。

今回、いただいたのは豊富なメニューのほんの一部。リーズナブルなのにボリュームはたっぷりで、ついつい頼みすぎてしまうのですが、食べすぎも飲みすぎも、今日くらいはいいかなと思えてしまうのが不思議です。これも創業70年の懐の深さゆえなのかもしれません。

わたしにとって、ここが理想の居酒屋である理由がほんのすこしだけ伝わったのではないでしょうか。百聞は一見にしかず。気になった方は、湯田川温泉の一角にある『居酒屋焼とり ひで』へ。“焼きトン”と地酒で庄内の夜を満喫してください。

基本情報

名称/居酒屋焼とり ひで
営業時間/17:00〜22:00
休業日/日曜 (毎月一回連休有り。HPにて要確認。)
ホームページ/https://yakitorihide.com
住所/山形県鶴岡市湯田川乙92
駐車場/10台駐車可
お問い合わせ/0235-35-4057

すずきまき

すずきまき

写真家・物書き。神奈川県横浜市に生まれ、2020年春に山形県鶴岡市へ移住。同年、庄内の自然に魅せられて創作活動をスタート。柔和な雰囲気の作風で、日々のなかにある光を写している。2022年4月には鶴岡市内の湯田川温泉にて自身初となる写真展『春眠』を開催した。 ライフワークはひとり旅。温泉めぐりと自然観察を軸に目的地を選び、現在は東北地方を開拓中。無類の温泉好きで、温泉ソムリエの資格をもつ。夫婦+2匹の猫、はるとあきとともに気ままな庄内ライフをおくっている。

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