きのこマスターへの道
月山ブナ林トレッキング

パワースポット&絶景

ここ数年、登山や滝巡りを楽しむ時間が増え、山や森に足を運ぶごとに、木々の芽吹きや高山植物の花などに出会い、少しずつ顔見知りが増えていく。自然の中で出会うモノたちは、みんな色カタチとりどりで美しい。

様々なきのこを見かけるたびに、これは何かな?とどんどん興味が湧いてきた。いつかきのこマスターになりたい!という密かな野望を抱きつつ、山で見かけたきのこを写真におさめたり、図鑑を見比べたりするも、食べられるきのこや毒きのこを判別するのは素人にはかなり難しい…。
それならプロに教えてもらえばいいんじゃない!?ということで、きのこ採りツアーへ!

今回は、庄内町観光協会さんが主催する「きのことりハイキング&秋空クッキング」へ参加させていただきました。

北月山荘へ集合

月山の湧水を集める立谷沢川沿いにある、北月山荘に集合。
ここで、きのこ採りについて簡単な説明を受け、装備や体力に合わせて初心者コースと中級コースに分かれて山に入るそう。私は中級コースに参加させてもらうことに。

きのこ採りには、日帰り登山の装備に加えてスパイク長靴があった方がベストとのこと。中級コースでは滑りやすい沢を下るので必ず用意した方が良いそう。

さて、いよいよきのこ採りへ。まずは月山四合目まで車で移動します。

気持ちいい青空と北月山荘。

月山四合目から森の中へ

月山四合目の駐車場に到着。ここから少し車道を歩いて、ブナの森へと分け入って行く。今回のガイドは、きのこ採り達人の板垣悟さん。きのこが採れる場所の環境や木の種類など、お話を聞きながら歩いていく。

きのこ採り達人の板垣悟さんが説明を交えながら、先導してくれます。

道沿いにあった立ち枯れのブナの木。

こういう木にきのこが出やすいのだそう。木に回り込んでみると、なんと天然のナメコを発見!道端でも意外ときのこは採れるらしい。けれど、誰でも採りやすいことから競争率は高め。ここで出会えたのはラッキー!これは幸先良さそうな予感。

きれいな天然ナメコ。

汚れている石づきをさけてナイフで採取するといいそう。きのこ採りナイフがほしい!

舗装されている車道から、森へ分け入り、どんどんと沢沿いを下っていく。
「この辺で、200キロくらいの熊に出くわしたことが2回ある」という板垣さん。森には、熊やスズメバチ、ヘビなど様々な生き物が住んでいる。そこに入っていくには、当然それなりの備えや知識が必要。生き物以外にも、遭難や毒きのこによる食中毒のリスクもある。山の恵みをいただくには、しっかりした知識を自分で身に付けないといけないんだよ、と。
私有地や保安林などきのこ採りができない場所もある。事前にきのこ採りができる場所かも確認してみよう。

ちょっぴり緊張しながらも、きのこはどこかとキョロキョロしながら進む。

沢沿いにまだまだ下っていく。

沢を少し登ったところに、また立ち枯れの木が。近づいてみると、これはもしかして…
木の皮を押しのけて、ナメコの赤ちゃんがたくさん顔を出している!なんとかわいい姿。程よく雨が降って数日もすれば、ちょうどいいサイズに育つんだそう。
きのこ採りはタイミングも大事。数日後に行っても、誰かに採られてなくなっているかもしれない。だからこそ、見つけるとうれしいんだな。

木の皮の下から顔を出すナメコの赤ちゃん。

さらに沢伝いにすすんで行く。なかなかのハードな道。滑らないように、慎重に。

忍者のような身のこなしで、きのこがありそうなスポットを先回りしてチェックするガイドの板垣さん。フットウェアはなんと、スパイク付き地下足袋+防水靴下。きのこマスターになるために、道具も大事よね!と「ナイフ、スパイク付き地下足袋、テゴ(収穫するかご)」とメモメモ。笑

「ブナハリタケがあるよ〜」と先頭から声が。
追いついてみると、倒木から白いきのこがいっぱい。庄内では「カノカ」「ブナカノカ」などと呼ばれているそう。香りが強いのが特徴で、歩いていると香りで気づくこともあるらしい。水分を多く含むので、ビニール袋に入れて水気を絞って、持ち帰るといいそうだ。

倒木にびっしり群生して生えるブナハリタケ。

庄内では雑煮や納豆汁にかかせないナラタケ。

さらに進むと、「ナラタケ」を発見!(板垣さんが。笑)庄内では「モダシ」と呼ばれる。このモダシを塩蔵(塩漬けにする保存方法)して冬にいただくのが庄内の食卓。もともとは厳しい冬を乗り越えるための知恵だったのだろうけど、何よりおいしいからずっと受け継がれているのだろう。
生モダシで作ったきのこ汁が食べたいと言っていた父が喜ぶなぁと想像しながら、かごの中も心もホクホク。

小さいのは残して、ちょうど良さそうなサイズのものだけを採る。

クロモジの香りで小休憩

沢から登ると、ブナの森がどこまでも広がる。ここでちょっと休憩。
水分補給をしながら、心地よい森林浴。

太陽の光の強弱で、葉が輝きだしたり、陰ったり。風に揺れる葉の音も聞こえてくる。

すぐそばに、枝が黒色のクロモジの木があった。

お茶や精油など様々に活用されるクロモジ。切り口からは爽やかないい香りが。

クロモジに含まれる「リナロール」という成分は、心落ち着くフローラルな香りが特徴で、ラベンダーやローズウッド、イランイラン、ベルガモット、スイートオレンジといった、アロマテラピーの中でも人気の高い香りにも含まれる成分なのだそう。クロモジの香りを嗅いですっきりリフレッシュ。

きのこクイズ!これなんだ?

きのこ採りでは、他にも色々なきのこに出会いました。このきのこたち、知っていますか?

  • 01|木やコルクのように固く、半月や扇型をしている。

では、答え合わせ。みなさんいくつわかったでしょう。
01|サルノコシカケ
02|エモギダケ
03|ドクツルタケ
04|キララタケ
05|クチキトサカダケ
06|ワサビタケ
07|タヌキノチャブクロ
08|ツキヨタケ

このクイズに出てきたものは、毒きのこだったり食用に向かないものがほとんど。ドクツルタケやツキヨタケなど、毒きのこの中でも特に危険なきのこは、素手で触らない方がよいんだそう。みなさんお気をつけて!

ブナの森を歩く

木を見上げたり、足元を探ったりしながら、ブナの森の中を帰ります。

枝が枯れている木を探して、その場所を覚えておく。きのこ採りは覚えることがたくさん。

ここにも立ち枯れの木にモダシがびっしり。

2時間ほどのきのこ採りトレッキング。学びながら、きのこ採りを楽しむことができました。ブナの森ありがとう。
「今日見つけたきのこ以外にもこんなきのこが採れるよ!」とガイドの板垣さんが写真を見せてくれました。いつか出会ってみたい〜!!

左からハツタケ、ヒラタケ、マイタケ。マイタケの立派なサイズ感!

きのこ料理を作ろう

北月山荘に戻ってきたら、ちょうどお昼時。
ツアースタッフの方々がきのこピザの準備をしてくれていました。おのおの具材を盛り付けて、窯で焼いていただきます。

私は、ブナハリタケとナラタケを採ることができました。いや〜うれしい!

ピザにきのこを乗せて。「ハツタケ」という旨みがいっぱいのきのこ。

ピザ窯で焼いてもらいます。

きのこの旨みがうま〜い!このツアーのために作られたという特製ベーコンも絶品。

ピザの他にも、焼ききのこや茹できのこなども味見させていただいた。きのこごとにおすすめの調理法や味付けなどを教えてもらいながら、おいしい時間。

茹でるとまるでレバーのような紫色に変わる「アミタケ」。

アミタケを大根おろしと醤油で。とぅるんとした食感がおいしい。

帰りがけには、きのこのお土産もいただいて。心地よい疲労感とともに、家路を急ぐ。
今晩は、きのこ料理と一緒にお土産話に花が咲きそうだ。

基本情報

名称/庄内町観光協会
ホームページ/https://www.navishonai.jp/

大瀧香奈子

大瀧香奈子

グラフィックデザイナー フルーツ王国 鶴岡市櫛引の農家に生まれる。おいしいものに囲まれて育ったからか、食べることがとにかく大好き!新しいことを知ること、体験することが好き。 最近は、庄内の風景を写真で切り取ること、植物を育てることに夢中。 面白そうなことを見つけると、すぐ飛び込みがち。 庄内にあるデザイン事務所 はんどれい株式会社所属。 SHONAI Fun!では、デザインやアートディレクション、編集などを担当。

関連記事

TOP