羽黒山の頂上には出羽三山の神々が祀られています。
出羽三山とは、羽黒山、月山、湯殿山の総称。
それぞれの山頂に神社はあるわけですが、羽黒山の三神合祭殿ではその神々を一度に参拝することができます。
他にも天然記念物があったり国宝があったり…、とにかく見どころの多いパワースポットですが、今回はそんな羽黒山の魅力を少しだけご紹介します。
車やバスで有料道路を通って頂上へ向かう手段もあるのですが、今回は宿坊が並ぶ門前町・手向(とうげ)から出発です。
随神門をくぐり、一歩踏み入れればそこはもう羽黒山。
一瞬にして森林の奥深くを進んでいるような景色が広がります。
杉をはじめとした木々の香りがあたり一面に漂い、なんとも清々しい気分にしてくれます。
随神門から10分ほど歩くだけで、須賀の滝、祓川、爺杉、五重塔と見どころが続きます。
なかでも樹齢が1000年を超えると言われる爺杉と、羽黒山五重塔の立ち姿は圧巻で、見るものを一瞬にして虜にします。羽黒山の世界観に一気に取り込まれてしまうでしょう。
国指定の天然記念物で、樹齢が1000年を越えるとも言われている巨木。
もはや視界の中に全体像を収めることは難しく、その一部を見ることで全体を想像するほかありません。
まるで巨人の足元を眺めるようにして爺杉を拝みます。
五重塔は日本全国に数あれど、たくさんの杉の巨木に囲まれて建つ羽黒山五重塔の姿はなかなか他では見ることのできない迫力があります。
柿(こけら)葺の屋根、釘なしに建つ東北最古の五重塔であることなどから、大変貴重な建造物であり、国宝にも指定されています。
工法がすごいということだけでなく造形も見事で、どこから見ても古さを感じさせないその美しさ。思わずため息がもれます。
また2022年7月16日(土)~10月16日(日)の期間限定(原則土日祝及びお盆期間)で夜間のライトアップも行われており、普段とは違う幻想的な五重塔を見ることもできますよ。
さあ、いよいよここから参道は本格的な登りになります。
山頂までの距離約1.7キロの道のりです。
参道は急な勾配もあれば緩やかな箇所もあり、登ったりまた少し下ったりしながらも山頂へと続いていきます。
なかでも一の坂、二の坂、三の坂と、呼ばれている急登があり、特に二の坂は別名「油こぼし」と呼ばれ、あまりの勾配に武蔵坊弁慶が奉納するための油をこぼしてしまったと伝えられているのだとか。
私も一の坂はひとおもいに登ることができるのですが、二の坂は息が上がってしまって、呼吸を整えるために途中で足を止めざるを得ませんでした。
その二の坂を登り切ると茶屋があり、その名もニの坂茶屋。
看板メニューに力餅があり、お抹茶と力餅を頂きながら茶屋から眺める景色は格別。…なのですが、残念ながら時間がなかったために今回は断念。すぐさま参道に復帰します。
足元に並べられた石段の数は2446段。
天気が良ければ、足元にゆらゆらと木漏れ日が揺れているのに気づくはずです。
疲れた足腰を癒し、励ましてくれるかのように、繊細で暖かな光が頂上へと導いてくれます。
この頃になるとずいぶんと身体が重くなっているのがわかります。
そんな時はあたりの景色に目を移しながら、ひと休み。
あとすこし、あとすこし。
随神門から一時間ほどでようやく山頂の鳥居が現れます。
山頂には出羽三山の神々が祀られた三神合祭殿があります。
それぞれ三山にお参りをしたり、すこし身体を休めたりして、また来た参道を戻ります。
行きは石段を登るので精一杯かもしれませんが、下りは足元に気をつけながらその石段にも注目してみてください。
運が良ければ当時の石工が残したと思われる徳利や盃の絵が刻まれているのを見つけられるかもしれません。
絵は全部で33個あると言われています。
長年の摩耗や陽の入り方などで、すべて見つけるのはなかなか難しいかもしれませんが、ぜひ探してみてくださいね。
ちなみに私は頂上の鳥居近くにある一つだけしか見つけることができませんでした。
自分の観察力の無さときたら…。
さて、そんなこんなでふたたび随神門まで帰ってくると、ほっとしながらも全身に爽やかな疲労感があるのがわかります。
ただ参拝に行くのとも、登山をするのとも違う、独特の羽黒山の魅力。いかがでしたでしょうか。
また違う季節に訪れるのもいいですし、今度は月山、湯殿山へ足を運んでみるのもいいかもしれませんね。
基本情報
名称/出羽三山神社
営業時間/通年
休業日/通年
御祈祷/ご祈願祭は、午前9時から午後4時の1時間ごと
祈祷受付は午前8時40分から午後3時50分頃まで
電話/0235-62-2355
URL/http://www.dewasanzan.jp/
アクセス/JR鶴岡駅から随神門までは車で約20分
鶴岡駅から山頂までは羽黒山有料道路を使って約28分
※五重塔は令和5年(2023年)~令和7年(2025年)春頃まで屋根改修工事が行われ、期間中は足場や幕などで覆われます