山形県酒田市の「楯の川酒造」が、2022年11月から蔵見学ツアーを始めたそうで——。
庄内に越してから地酒のおいしさに目覚め、すっかり日本酒loverとなった私。なかでも「楯の川酒造」には、特別な思い入れがあります。
かつて東京の日本酒Barで飲んだお酒の中に「楯の川酒造」の純米大吟醸があって、まだ若く経験が浅かった私でも「これはおいしい!」と思えた、味覚とともによみがえる記憶。まるで身体に染み渡るような、清らかで優しい口あたり。甘いor辛いのベクトル以外に「旨い」という軸が芽生えた瞬間。今でも忘れない「楯の川酒造」との出会いを思い返し、満を持して蔵見学に申し込んだのでした。
日本酒の原料である酒米と、ごはん用のお米との違いを知っていますか?酒米はごはん用のお米よりも、粒が大きく、心白(しんぱく)があり、たんぱく質や脂質の量が少ないのが特徴だといいます。
「楯の川酒造」で使用する酒米は、庄内では定番の「出羽燦々(でわさんさん)」、「美山錦」、そして昨今注目度の上がる「雪女神」に加え、庄内の在来米で幻の酒米とも呼ばれる「亀の尾」や亀の尾の親にあたる品種で、楯の川酒造が契約農家と復活させた「惣兵衛早生」など。なんとその8割は、契約農家が栽培しているんだとか。そんなお話しを聞きながら、普段立ち入ることのできない酒蔵の中を進みます。仕込みの工程ごとに丁寧に説明をしてくれるので、初心者の方にもおすすめですよ。
見学は、お米を洗う「洗米」の作業からスタート。その後、蒸した米を麹菌と合わせ、寝かせることで酒母を造り、さらに酒母と原料をあわせて発酵させることでもろみを造る。最後にもろみを搾り、酒と酒粕にわけることで日本酒が出来上がる。あまりにもざっくりとした説明ですが、詳しくは見学に行ってからのお楽しみに。見学ツアーに参加すれば、ゆっくり30分かけてこれらの工程を見ることができますよ。
「楯の川酒造」の特徴は、なんといっても全量純米大吟醸。純米大吟醸のみを造るプレミアムな酒蔵なのです。(すごすぎて2回言った)一般的に、米・麹・水のみを使って製造された日本酒で、原料米を50%以上削ったものを「純米大吟醸」と呼びますが、ここでは1%まで削って使用することも。50%まで精米したお米を300㎏準備するためには約15時間、1%まで精米したお米を300㎏準備するのに掛かる時間は、なんと約1800時間!お米が割れないよう時間をかけてゆっくり削るため、それ程の時間がかかるのだとか。
酒蔵見学が一通り終わった後は試飲タイム。今回は、三種類の日本酒を試飲させていただきました。どれも純米大吟醸ですが、はっきりと味の違いが感じられました。私の場合、一種類だけを飲むと「あぁおいしい〜」で終わりがちなので、比べられるのが嬉しいところ。酒米の品種や精米歩合の違いなどでそれぞれに特徴があり、どう違うのかを言語化していくことで、好みを探っていきます。
酒蔵見学、試飲ときたら次はお買い物。今回、私がお土産に選んだのは「楯野川無我」のブラウンボトル。酸味と甘みのバランスがよく、無加熱のフレッシュな生酒だと聞いて購入を決めました。「お気に入りの蔵元から直接お酒を購入する」という経験は、都会ではなかなか出来ることではないので、ついテンションが上がってしまいます。こういう時に、恵まれた土地に暮らしているなぁとしみじみ感じますね。
「今日はちょっといいお酒を飲みたいな」そう思ったときにチェックしたい「楯の川酒造」。蔵見学ツアーがはじまって、お酒好きの友人が遊びに来たら必ず連れてきたい庄内のおすすめスポットになりました。
基本情報
※酒蔵内は原則撮影禁止となります。(今回取材のため特別に許可をいただきました)
※試飲酒は日替わりで2〜3種類程度、店舗より指定でのご提供となります。
※ご試飲の際は、お車の運転手様の確認を実施しております。運転手様のご試飲はできません。飲酒運転は絶対にお止めください。
実 施 日/仕込み期間の毎週水曜日・土曜日(年末年始を除く)
時間帯/10時~(1回につき、最大5名様まで)
費用/一人 1,500 円(税込)お土産付き
内容/動画鑑賞・蔵見学・試飲(エクストリームシリーズ含む)
名称/「楯野川 試飲ルーム」
所在地/〒999-6724 山形県酒田市山楯字南山添75-1
TEL・FAX/0234-52-3252
営業時間/10時~16時
定休日/日曜(祝日営業 臨時休業有り)
運営会社/(株)創り酒屋(楯の川酒造の子会社)