合言葉はギブミーベジタブル!
食と音楽を体感しよう。

お祭り・イベント

東北の江ノ島とも呼ばれる白山島に渡る朱色の桟橋とエメラルドブルーの海。鮮やかな色のコントラストが美しい由良海岸を舞台に、庄内初の「ギブミーベジタブル&ハカリウリ」が開かれた。

「ギブミーベジタブル」では「入場料が野菜」という、全国各地で行われている食と音楽の体験型交流イベントだ。
今回は、ライブ演奏のリズムが流れる会場で、庄内を代表する料理人たちがそこに集まった食材を使って即興で調理し、会場のみんなで味わう。最後に残った食材は、出演した演奏家や料理人への報酬になるのだそう。
物々交換で生まれる人と人のつながりはどんな風だろう?

他にも、庄内で活動している団体のビーチクリーンアップ、命の教室「魚の神経締め」「鴨の解体」など、様々な体験が待っているそう。楽しいだけじゃない、これからの庄内や自分の暮らしを見つめ直すきっかけになりそうな予感。

まずは、Don’t think, feel!
心がわくわくするままに「ギブミーベジタブル」という名の大きな海に飛び込んでみよう!ということで、ボランティアスタッフとしてイベントを体験してきた。

秋晴のイベント当日は、35℃を超えるアツい一日となった。
ギブミーベジタブルの会場設営が進む中、最初にはじまったのはビーチクリーンアップ。

まずは、みんなでビーチクリーンアップ。

  • エシカル・ショウナイを主催する中沢深雪さんと工藤夕佳さんがごみ拾いについて説明。

この時間だけでは全然拾い切れない。けれど、こうやって体験し現状を知れたことで、ごみ拾いに限らず普段の生活でも環境に配慮できることを家族で考えられたらいいな。

ギブミーベジタブルがスタート。

マイバッグに野菜や食材を持った人たちが次々に受付へ。

  • ギブミーベジタブルが始まりました!まずは、受付へ。

入場の印は、大山の下池で採れたれんこんに、ヨウシュヤマゴボウから手作りしたインクを付けて、ポンっとスタンプ。すべて天然素材というこだわりが素晴らしい、花屋のSunlipsさんのナイスアイディア!
さらに、ボランティアスタッフの優しいベージュ色Tシャツは、玉ねぎの皮で草木染めされたもの。簡単で便利なものじゃなく、楽しいと思えること・想いを大切にできる方法を選ぶところに、このイベントの作り手たちの想いを感じた。

「GIVE ME VEGETABLE PUT!」の看板は、木工屋BORZOIさんが廃材で作ったもの。

フードテントには、みんなが持ち寄った思い思いの食材が並び始める。
「我が家の家庭菜園の野菜を使って欲しい」
「この食材ならいろんなメニューに使えるかも」
「あのシェフにこの食材を使って料理してほしいな」
きっと何日も前から何を持っていこうかと、ひとりひとりが想いをめぐらせて選んでくれた色とりどりの食材たち。

野菜、果物、魚や肉、ハーブなど。この食材からどんな料理が生まれるのか、楽しみすぎる!

お金のやりとりは簡単で便利。けれど、物々交換には贈り物を選ぶときのような「相手を想う気持ちや時間」も含めて交換しているんだなぁ。みんなの笑顔や会話の端々に、心と心が通う喜びがにじんでいるように見えた。

料理人たちは、宝の山から思い思いの食材を手にしては、キッチンへ向かう。

庄内の名だたる料理人たちが勢揃いするキッチンブース。後ろには真っ青な海が最高に気持ちいい。ライブ演奏されるジャンベのリズムに乗って、即興の料理が生み出されていく。

  • 今回の「いいだしっぺ」の古門浩二さん(左)と古門さんが師匠と慕う大石田町の次年子umuiを営むエミコさん。

終始、料理人たちを盛り上げる、今回の「いいだしっぺ」ことbeddasiciliaオーナーシェフの古門浩二さんと古門さんが師匠と慕う大石田町の次年子umuiを営むエミコさん。umuiさんでは、定期的にギブミーベジタブル&ハカリウリが開かれている。

9月とは思えないアツアツの一日。時折吹く潮風がとても気持ちよかった。
自然が近い場所だからこそ、海に入ったり、芝生に寝転んだり、それぞれ自由に遊んでいる姿が印象的だった。

岩場で海の生き物を探したり、波打ち際で遊んだり。

命の授業

食べることは、命を有り難くいただくこと。精肉や切り身になる前の姿を知って、「命」を感じることができたら、普段の食卓の見え方もきっと違う風景になるはず。

  • 神経締めの達人・漁師の鈴木重作さんが生きた鯛に神経締めのワイヤーを刺し込んでいく。

命の授業では、サスティナ鶴岡で活動する小野さんの絵本「いのちをいただく」の読み聞かせもあったり、命をいただくことを考える時間。鯛の神経締めや鴨の解体など、普段は見ることができない貴重な場面を、子どもたちはまっすぐ目をそらさずに見届けていた。

子どもたちに向けた命の授業。でも見ていた大人たちの心にも確かに訴えかけていた。簡単に知ったつもりになっちゃいけないこと。もしかしたら、大人こそ見るべきなのかもしれない。

ハカリウリ&ワークショップ

会場を賑わしているカラフルなテントでは、ハカリウリやワークショップ、ライブ演奏があったり、見て回るだけでも楽しい。
ハカリウリは、昔ながらの包装なしのはかり売り・ばら売り。容器やエコバッグなどを持参してもらい、使い捨てプラスチックや包装紙などのゴミをできるだけ出さないような取り組みをしている。

  • 入場料の野菜を忘れた人もここで買うこともできる。庄内農家さんたちが育てたみずみずしい野菜が光っている。

ハカリウリやワークショップでは、お客さんもお店屋さんもお互いを思いやることが当たり前な雰囲気で、素敵なやりとりの様子をたくさん見させてもらった。「お金を払ったんだから、これくらい当たり前」そんなやりとりは、やっぱり寂しい。お金を使っていても、物々交換の時のような思いやりの心は大事にしたい。

  • ツバメ雑貨店さんでは、ツバメコーラの他に、土がついたままの採れたて生姜のハカリウリも。昔ながらの商店街を歩いているよう。

会場をずっと沸かせていたジャンベは、西アフリカで生まれた民族楽器だそう。鍛冶屋の鉄鉱石の製錬中の時に演奏されたのが始まりと云われているそう。たしかに、ジャンベのリズムは血が騒ぐような、活力が湧いてくる感覚がある。体を揺らせば、楽しくて元気な気持ちにしてくれる。暑い中、ひたすら料理を作り続けた料理人たちも、ジャンベの音に何度も力をもらったとおしゃっていた。

最後は、由良の早乙女太鼓。

日本海をテーマに描かれたライブペイントが完成!海の青と夕焼けのオレンジが印象的な作品を背景に、大トリ・早乙女太鼓の演奏が始まった。

  • わたしたちの海をもっときれいにしていけるように、海への想いを込めたアート作品が完成。

「食」と「音楽」には、知識とか世代とか様々な違いを超えて、根源的な生命力を与えてくれるすごいパワーがあるなぁと実感した一日。食文化創造都市の鶴岡に、音楽の魅力が加わったら無敵になっちゃうかも。
命の大切さとか、環境のこと、お金のこと、色々なことを考えさせてもらえる素晴らしい時間。でも、難しいことばかりで眉間にシワを寄せるんじゃなくて、とにかく体験して楽しもう!という雰囲気がとても心地よくて、自然と「より良い楽しい未来」に向かっていけそうな希望の空気に満ちていたように思う。この気持ちを忘れずにいたい。

同じ場所に居合わせてくださったみなさん、ありがとうございました。またここで会える日を楽しみにしています。

この一日、アメージングな料理の数々を作り出し続けた料理人のみなさん。本当にお疲れさまでした!最後にベジタブルの「V」ポーズで記念撮影。

(ギブミーベジタブル参加シェフ:manoma マツーラさん、ミウラのユカレー 三浦さん、POURPIER 武田さん、庄内ざっこ 翔太さん、pomme de terre 有坂さん、blanc blanc gastropub 五十嵐さん、EN/ME 笹原さん、りば亭 ゆうかっぷさん、花月 阿部さん、風のオルファ 幸子さん、umui エミコさん、ハレトケ 都さん、Beddasicilia 古門さん、粕谷さん)

基本情報

●ギブミーベジタブル &ハカリウリ IN 庄内
インスタグラム/https://www.instagram.com/give_me_shonai2022/?hl=ja

●2022年9月19日の開催場所
由良海水浴場(由良温泉観光協会)
ホームページ/https://yuraonsen.com/

アクセス/JR鶴岡駅から車で約25分
駐車場/有り

大瀧香奈子

大瀧香奈子

グラフィックデザイナー フルーツ王国 鶴岡市櫛引の農家に生まれる。おいしいものに囲まれて育ったからか、食べることがとにかく大好き!新しいことを知ること、体験することが好き。 最近は、庄内の風景を写真で切り取ること、植物を育てることに夢中。 面白そうなことを見つけると、すぐ飛び込みがち。 庄内にあるデザイン事務所 はんどれい株式会社所属。 SHONAI Fun!では、デザインやアートディレクション、編集などを担当。

関連記事

TOP