まちキネが帰ってきた!スクリーンに映る街の風景

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「まちキネ」の愛称で市民に愛されてきた鶴岡で唯一の映画館「鶴岡まちなかキネマ」。
新型コロナウイルス感染症拡大などの影響を受け、2020年5月に閉館となっていましたが、「まちキネを残してほしい」という市民の熱い想いを受け、近隣商店街を中心とした方々が再オープンに向け奔走すること約3年。
ついにこの春、新しくなったまちキネが帰ってきました!

2023年3月25日、スペシャルゲストの『THE LEGEND & BUTTERFLY』大友啓史監督をはじめ、まちキネを運営する山王まちづくり株式会社 代表取締役 三浦新さん、鶴岡市長の皆川治さん、建物のオーナーである鶴岡市社会福祉協議会 会長 山木知也さん、商店街のこどもたちも参加してのオープニングセレモニー。
メディアや映画ファンが見守る中、ファンファーレとともにあたたかな雰囲気でまちキネの新たな幕が開きました。

新生まちキネのロゴマークは、俳優の井浦新さんのデザイン。天井の印象的なトラス構造をデザインに落とし込んでいる。
トラス構造の天井。天窓からはさんさんと光が差し込む。
月山をテーマに描かれた壁画が出迎えてくれる。

中に入ると、目に飛び込んでくるのが全長12メートルの壁画。以前まちキネの屋外を彩っていた壁画を再オープンに合わせて室内に移設し、作者の土井沙織さんが建物の雰囲気に合わせて加筆されたんだそう。生き生きとした動物たち、力強く伸びる木々の枝が天井のトラス構造へと自然につながります。森の廊下を進むほどに、非日常の世界にいざなわれるようでした。


森を抜けると、その先にはまちキネの受付へ。再オープン初日は、まちキネの再開を待ちわびたお客さんで大賑わい。
新生まちキネでは、オンラインで事前予約もできるようになりました。予約時に席まで選べて、当日は発券機でさっと発券するだけ!とより手軽に。

スマホやパソコンから簡単に予約ができる。


建物は鶴岡市社会福祉協議会が所有し、山王まちづくり株式会社がその一部を借り受けるという形で再開されたまちキネ。スクリーンは以前の4つから2つになり、コンパクトながらも、多様なラインナップを取り揃えていくそう。

公開中の作品やこれから公開する映画のフライヤーがずらり。
スクリーンは『キネマ3』『キネマ4』と以前の面影を残したままにしている。

オープニングを飾る作品たち

まちキネのオープニングを飾った作品をいくつかご紹介します。どの映画も庄内にゆかりがあったり、どこか通じるところがあったり、どこもこれもおもしろい作品揃い。

THE LEGEND & BUTTERFLY

1本目は、今話題の『THE LEGEND & BUTTERFLY』。初日は大友啓史監督の舞台挨拶付きという豪華版!織田信長とその正室・濃姫の30年の軌跡をまったく新たな視点と圧倒的スケールで描き切った超大作で、映画冒頭の主演の木村拓哉さん演じる信長と綾瀬はるかさん演じる濃姫が出会う重要なシーンは、なんと庄内で撮影されたんだそう。
上映中、信長と濃姫の強い絆に目頭が何度熱くなったことか…。素晴らしい作品でした!

NHKの『龍馬伝』や『ちゅらさん』などでもメガホンをとった大友監督。撮影でのエピソードや各シーンに込めた想いなど興味深いお話をたくさん話してくださった。

土を喰らう十二ヵ月

2本目は、沢田研二さん主演、料理研究家の土井善晴さんが料理を監修した『土を喰らう十二ヵ月』。主人公ツトムがつくる素朴だけれど四季折々の料理に、席のあちこちからぐぅとおなかの鳴る音が聞こえてくる、なんともおいしそうな映画です。
信州が舞台ですが、食の都庄内との共通点や違いをみつけるのも楽しい1本。

「鶴岡でもぜひ映画を撮りたい」という中江監督。鶴岡の食文化をテーマにした映画を期待しています!

「ハイサーイ!(こんにちは)」と沖縄の挨拶で始まった中江裕司監督の舞台挨拶。撮影のために、畑の開墾や野菜の栽培もすべてゼロからはじめたというからすごい。

息ができない

3本目は、鶴岡出身の冨樫森監督と俳優が一緒になって企画からつくりあげた自主制作映画『息ができない』。主演を務める白木孝宜さん自身の半生から着想を得た、夢を追う若者の挫折や葛藤を描いた意欲作。ロケ地となった鶴岡の風景を発見するのも地元人としてうれしい作品です。
「今回のオープニング上映もまちキネに直談判して実現したんです。」と熱く語ってくれた白木さん。

上映後のトークショー。左から主演の白木孝宜さん、manomaのミスミノリコさんとマツーラユタカさん、俳優の村上真衣さん。

主演のお二人は、どうやったら忘れられない映画になるだろうと考え、約3週間「鶴岡に住む」ことを選択。地域の人に「自分がスクリーンに映る」映画体験をしてもらおうと、地域の人と交流する様子をビデオに収め、映画の後に上映するという面白い活動を展開したんだそう。さらに上映の後には地域の人をゲストに迎えた面白いトークショーまで!
エネルギーに満ちたお二人に、出会った地域の人たちが応援したくなる気持ちがわかりました。

地域みんなに愛されるまちキネに

山王まちづくり株式会社 代表取締役の三浦新さん。

2010年にオープンし、封切作品からミニシアター系の小規模作品まで、シネマコンプレックスとは一線を画す上映ラインナップで地域の人々に愛されてきたまちキネ。
「おいしい鶴岡 食の映画祭」など地域文化に密着した企画や近隣の商店街と連携したサービスを展開したり、エントランスホールでの音楽イベントの催しなど、映画だけにとどまらない多種多様な交流ができる地域にとって大切な場所となっていました。2020年5月、突然の閉館後も市民の熱い想いが途切れることはなく、プレ上映やクラウドファンディングを経てついに再生を遂げました。

運営に名乗りを上げた山王まちづくり株式会社の代表取締役を務める三浦さんに今後の展望を伺いました。
「小さい映画館ですが、映画ファンはもちろん様々な年代の人に楽しんでもらえるバラエティに富んだラインナップを揃えています。多くの人が集まる場所づくりをしていきたいので、持ち込み企画なども積極的に応援していける体制を整えていきたいと思います。」

三浦さんの言葉に楽しい妄想が膨らみ、街のコーヒーショップがPOPUPしたり、映画に合わせたフード&ドリンクの出店などがあったら楽しそう〜とか。ポップコーンの代わりに庄内らしいお米のポン菓子「つやポン」を販売してもいいかも?とか、推しの企画を持ち込んでスクリーンを貸し切りにしちゃうとか、楽しいアイディアは無限大。

映画と人、文化と人、人と人をつないでいく場所。地域のみんなで作り上げていくまちキネのこれからがとてもとても楽しみになりました。

基本情報

名称/鶴岡まちなかキネマ
営業時間/9:00〜 21:00
休業日/火曜
TEL/0235-64-1441
ホームページ/https://machikine.net/
アクセス/JR鶴岡駅から車で約5分、徒歩で約15分
住所/山形県鶴岡市山王町13-36
駐車場/無料あり

【通常料金】
一般¥1,700
大学生(要学生証提示)¥1,400
高専生・高校生(要学生証提示)¥1,000
中学生以下(3歳から有料)¥1,000

【割引サービス】
シニア割引(60歳以上の方)¥1,200
ペア50割引(ペアのどちらか50歳以上)ふたりで¥2,400
バリアフリー割引(要証明証・付添者1名まで)¥1,000
レイトショー(18時以降上映開始の回)¥1,400
ファーストデイ(毎月1日)¥1,100
映画の日(毎年12月1日)¥1,000
まちキネの日(毎年5月22日)¥1,000

【まちキネLOVE サポーター会員】
一般¥1,000
大学生(要学生証提示)¥800
高専生・高校生(要学生証提示)¥800
中学生以下(3歳以上から有料)¥800

【スタンプ会員】※要会員証提示 ☆入会金500円
一般¥1,300
大学生(要学生証提示)¥1,000
高専生・高校生(要学生証提示)¥800
中学生以下(3歳以上から有料)¥800

大瀧香奈子

大瀧香奈子

グラフィックデザイナー フルーツ王国 鶴岡市櫛引の農家に生まれる。おいしいものに囲まれて育ったからか、食べることがとにかく大好き!新しいことを知ること、体験することが好き。 最近は、庄内の風景を写真で切り取ること、植物を育てることに夢中。 面白そうなことを見つけると、すぐ飛び込みがち。 庄内にあるデザイン事務所 はんどれい株式会社所属。 SHONAI Fun!では、デザインやアートディレクション、編集などを担当。

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