春の兆しを持ち寄って
SHONAI GATHERING:01 おいしい春招きの巻

遊ぶ・体験

四季折々、おいしい食材たちが入れ替わるように旬を迎える庄内。そんな土地に暮らしているからには、季節の恵みを思いっきり楽しまなくちゃっ。というわけで、毎回“おいしい!”を持ち寄る『SHONAI GATHERING(ショウナイギャザリング)』がスタート。

ギャザリングのココロは、「気軽においしく楽しい時間をシェアするために“集まる”」こと。ホストとなるのは、二十四節気にあわせた食事が楽しめるカフェ&セレクトショップ『manoma』をやっているマツーラユタカとミスミノリコ。そしてSHONAI Fun!の編集チームがメンバーです。

記念すべき第1回は、2月から暦が切り替わったばかりの3月某日。まだまだ肌寒い日だったけど、春の兆しをモチヨリました。ホームパーティほどがんばらず、みんなで持ち寄って、みんなで準備して、手軽に分かち合って楽しむのが今の気分。おいしく食べるだけじゃなくて、つくり方もシェアできたら、ということで、マツーラからは出始めのふきのとう、そして菜の花やうどを使った料理をご紹介。読者のみなさまにもレシピをお裾分けです。


Recipe 01 ばんけ味噌

Recipe 02 ふきのとうのミルクペンネ

Recipe 03 菜の花とうどの春巻き


●Recipe 01:ばんけ味噌

春先あちこちに顔のぞかせるふきのとう、庄内では“ばんけ”と呼ばれます。旬の短いふきのとうは、ばんけ味噌をつくってストックしておきつつ、いろいろな料理に展開して楽しみます。ふきのとう味噌は砂糖をたっぷり使ってつくることが多いですが、今回は甘めの西京味噌を砂糖がわりに使いつつ、家庭にある合わせ味噌とダブル使いして、コクたっぷり、甘さをやや抑えめに仕上げます。

<材料> つくりやすい量

  • ふきのとう 80〜90g
  • あわせ味噌 100g
  • 西京味噌 100g
  • 酒、みりん 大さじ3
  • 米油、サラダ油  

<つくり方>

  1. 鍋に湯をわかし、ふきのとうを1分ほど茹で、冷水にとる。水気をよく絞って、細かく刻む。
  2. フライパンにとろ火にかけ、ふきのとうを入れ、軽く水分を飛ばしながら炒ったあと、酒とみりんを加えて軽く炒める。続いて西京味噌と合わせ味噌を加えて全体を混ぜ合わせながら火を入れて、お好みのとろみになったところで火を止める。

保存するときもひと工夫。できあがった味噌は、空き瓶に詰めて、白のサインペンで「BANKE MISO」と書くだけでオシャレに見えますよ。

Recipe 02:ふきのとうのミルクペンネ

こちらは仕込んだばんけ味噌を使った展開メニュー。クリームソース系のパスタに、ばんけ味噌ってめちゃくちゃ合うんです。特にペンネだと、ふきのとうのほろ苦い味わいのソースとよく絡んでうまうまです。ばんけ味噌は、ポテトサラダやコロッケなんかにもあいますよ。ぜひお試しください。

<材料> 2〜3人分

  • ばんけ味噌 大さじ3
  • うるい 2本(トッピング用)
  • ペンネ 160g
  • 玉ねぎ 1/2個
  • にんじん 1/2本
  • にんにく 1片
  • 牛乳 200ml
  • オリーブオイル 大さじ2

<つくり方>

  1. 玉ねぎはスライス、にんじんは千切り、にんにくはみじん切り、うるいは斜めにスライスする。
  2. 鍋にたっぷり湯をわかし塩(分量外)を入れてペンネをゆでる(ペンネ2人分160gくらいで水1.5リットル、塩大さじ1が目安)。あとで煮込む工程があるので、表示のゆで時間より1分ほど短めに。
  3. パスタをゆでている間に、フライパンにオリーブオイルをひきにんにくを弱火で熱し、香りが出てきたところで、玉ねぎを入れて中火にして透き通るぐらいまで炒める。続いてにんじんを入れてさっと炒める。
  4. 牛乳とばんけ味噌を入れて、全体をよく混ぜ、ひと煮立ちさせる。※ばんけ味噌は、仕込み方によって塩気が異なるので、味見しながら加えてください。
  5. 4にゆであがったペンネを加えて、混ぜながら1分ほど煮込み火を止める。器に盛り付け、うるいをトッピングする。

Recipe 03:菜の花とうどの春巻き

春を春で巻く。春のほろ苦さ、辛みが、カリッとサクッと口の中に広がって。いぶりがっこも加えて揚げることで、食感のアクセントになりつつ、独特の燻製香が加わり、これがまたクセになる味に。

<材料> 約6本分

  • 菜の花 1/2束(100g)
  • うど 1/2本
  • いぶりがっこ 10g(たくあんなど、お好みの漬物)
  • 塩麹 大さじ1
  • からし粉 大さじ1/2
  • すりごま 大さじ1/2
  • ごま油 大さじ1
  • 春巻きの皮 6枚
  • 揚げ油 適量
  • 水溶き小麦粉 適量(春巻きの糊づけ用)

<つくり方>

  1. 菜の花は斜めに1cm幅にカットしてザルに広げる。鍋にたっぷりの湯をわかして、ザルにかけ、菜の花に軽く火を通す。粗熱がとれたら、きつめにしぼって水気をとる。うどは1cm角くらいに細かく切り、フライパンにごま油をひき、2分ほど、弱火で炒めてバットに広げて粗熱をとる。いぶりがっこはみじん切りする。
  2. 1をすべてボウルに入れ、塩麹とからし粉、すりごまを加えてよくあえる。
  3. 春巻きの皮を広げ、2を加えて下側と左右から折り込んで巻いていき、残った皮の部分に水溶き小麦粉を塗って包む。
  4. フライパンに揚げ油を入れて180℃に熱し、2を入れて、両面こんがり色づくまであげる。

みんなで準備も一緒に楽しむのだ

今回集ったメンバーは、ニショイのお二人、すずきまきさん、大瀧香奈子さん(撮影係)、そして「manoma」のマツーラユタカとミスミノリコな面々で。キッチンに入って、ワイワイと春巻きを巻いたり、それぞれが持ち寄ったものをお皿に盛り付けたり、準備もみんなで楽しみます。ホームパーティで招く側のホストだけががんばるのはなかなか大変なもの。準備も片付けも、みんなでやる方がラクになるし、「いつも野菜はどこで買い物している?」「この器の作家さんは…」「このオリーブオイルおいしいね」などなど、その場その場で会話も生まれます。そんなおいしい情報交換もギャザリングの楽しいところです。

モチヨリいろいろ、オイシサいろいろ

今回テーブルに並んだおかずたち。manomaからは、ペンネと春巻きのほかに、長芋を使ったグラタンとうるいといちごのサラダ、にんじんラペを。まきさんは、旦那さまがお手伝いにいっている農家さんが育てたというこごみを持ってきてくれました。胡麻和えにしたこごみは、お義母さんに教えてもらったレシピだそう。ゆでただけのこごみは、manomaにあったハーブのペーストをあわせていただきます。

温海の山の方に住むニショイのお二人からは家で漬けた本場の温海カブの漬物と、パーティのテーブルには名脇役、ナッツ好きのツマにからのミックスナッツ。そして珍しいお茶を集めるのが好きということで、松を使ったハーブティ。大瀧さんからはご近所さんが捕まえたという猪肉が! 焼いたものはバゲットにのせてオシャレにブルスケッタにして。ストロングかも!?と言われた猪のトマト煮込みも、トマトの酸味が猪のクセをやわらげてくれて味わい深かったです。

まだまだ寒い時期だったから「春の兆し」は思ったより揃わなかったけど、それぞれの家ならではのエピソードがあったり、レシピがあったり。モチヨリすることでおいしさも、楽しさも、ストーリーも広がっていくのでした。

これからは雪解けが進み、山々が色づいていく季節。春野菜や山菜がどんどん出てきて、台所に立つのが楽しくなりますね。みなさんも、得意料理を持ち寄って、春の「ギャザリング」を楽しんでみてはいかがですか?

基本情報

名称/manoma
住所/山形県 鶴岡市朝陽町18−8
営業時間/11:30〜16:00
定休日/火・水・木 (不定休あり)
TEL/0235-25-0293
SNS/Instagram:@manoma_tsuruoka
ホームページ/https://manoma-tsuruoka.com/

書き手:マツーラユタカ
スタイリングと手書き文字:ミスミノリコ
写真:大瀧香奈子

マツーラユタカ

マツーラユタカ

物書き料理家。東京でフードユニット「つむぎや」として活動後、2019年に地元である山形県鶴岡市にUターン。妻で暮らしの装飾家ミスミノリコとともに、カフェ&セレクトショップ「manoma」を営みながら、ライター稼業も。つむぎやとしての「お昼が一番楽しみになるお弁当」(すばる舎)など、著書多数。雑誌nice thingsに「ソウルフードトラベラー」を連載中。

関連記事

TOP