幼い頃、クリスマスのイルミネーションを見に出かけたことを今でも覚えている。普段は寝る準備をはじめる真っ暗な時間、家族でドライブできることがあまりに特別で、ただ道を走っているだけでわくわくした。寒さも忘れて夢中で歩いた時の気持ちや、帰りに飲んだ甘いココアのこと。どれも大切な記憶で、冬が来るたび鮮明によみがえる。
庄内にも冬のイルミネーションがあると知ったのは、夫の実家に飾られた1枚の写真がきっかけだった。甥っ子ふたりがきらきら光る電飾に囲まれて、満面の笑みでピースサインをしている。きっとふたりもこの日のことを、大人になっても思い出すんだろうな。
あまりにいい写真だったから、どこで撮ったのかと聞いてみると、家からそう遠くはない藤島地区だという。「庄内にもイルミネーションスポットがあるんだ!」と知ってうれしい驚きだった。(イルミネーションといい、赤川花火大会といい、庄内の人は光るものが好きなのかな?)
藤島のイルミネーションが見られるのは、初夏に藤の花が咲く「藤島歴史公園」。そういえば、はじめて来たとき、真っ暗な藤島地区に突如として現れるまばゆい光にずいぶんと感動したなぁ。都会のイルミネーションは街のネオンの延長線上にあったから、横浜出身の私にとってはその光景が新鮮で、田んぼに囲まれた藤島で見たイルミネーションは、なんだかとてもあたたかかった。
移住から3年目の冬。何度もここを訪れるうちに、イルミネーションのワークショップリーダーをしている井上 夏さんに会う機会をいただいた。夏さんは、藤島の歴史や、地域の方々や学生さんたちが力を合わせて会場をつくり上げていることを教えてくれた。イルミネーションと同じでまぶしいほどに明るい人柄で、私の質問によどみなく、心からの言葉で答えてくれたのが印象的だった。
なぜ藤島でイルミネーションをやっているの?
「藤島歴史公園」ができた頃、市民の中から20人ほどが集まって「Hisu花ワークショップ」というグループが出来ました。遊具もない公園だけど、人に来てもらうにはどうしたらいいかを相談して、イルミネーションというアイディアが生まれました。最初は市民の方々に来てもらいたくてはじめたのですが、毎年続けていると、市民は勿論、県外の人も来てくれて。「藤島すごいの〜」って言われるようになりました。そうすると、とても誇らしくて、うれしくて。今はここに暮らすひとが藤島をもっと好きになってほしい、子どもたちに「将来、藤島に住みたい」と思ってもらいたい、そんな思いでいます。
どんなひとに来てほしいですか?
みんなに来てもらいたい!庄内や東北をこえて、日本中で注目されるようなイルミネーションにしたいです。お金をかけて立派なものを目指すのではなく、手作り感を大切にして、あたたかい場所であり続けたいなと。「Hisu花」のイルミネーションはアットホームなのがいいところなので、その良さをみんなで協力して伸ばしていきたいです。
来場される方へ、伝えたいことはありますか?
雨が多い季節柄、汚れてもいい靴で来てくださいね。長靴が一番おすすめです。晴れた日はもちろんお出かけ日和ですが、雨の日は水滴に反射した光がとても綺麗で、雪の日には東北ならではの真っ白な雪景色とイルミネーションのコラボが楽しめます。その日ごとに良さがあるので、何度でも来てほしいです!
夏さんが話してくれたことは、私の中にすとんと落ちた。このイルミネーションが、なぜあたたかく感じたのか。それは、地域の人々の「藤島への愛」がエネルギー源だからなのでは…!そう思えてきた。
イルミネーションを見ていると、なんだか元気が出てくるし、冬空の下だというのに心はぽかぽかとしてくる。目から入った光が、身体の中で熱にかわってエネルギーとして蓄えられていくような気がする。だから私は寒ければ寒いほど、イルミネーションが見たくなる。
基本情報
名称/藤島イルミネーション2022
開催日時/令和4年11月3日(木・祝)から令和5年1月9日(月・祝)
期間中毎日午後4時30分~午後9時30分まで点灯
SNS/
Instagram:https://www.instagram.com/fujishima_hisuka/?hl=ja
Facebook:https://m.facebook.com/hisukairumineshon/
場所/藤島歴史公園
駐車場/藤島歴史公園「Hisu花」(鶴岡市藤島字山ノ前地内)の駐車スペースが非常に限られているため、藤島イルミネーション2022へお越しの際は、隣接する鶴岡市藤島庁舎の駐車場または東田川文化記念館の駐車場をご利用ください。路上駐車は交通の妨げとなるため絶対におやめください。
【駐車場の住所】
鶴岡市藤島庁舎 :山形県鶴岡市藤島字笹花25(約200台)
東田川文化記念館:山形県鶴岡市藤島字山ノ前99(約50台)