凍てつく冬に、あつあつの「寒鱈汁」はいかが?
鶴岡銀座商店街の日本海「寒鱈まつり」へ。

おいしい話

庄内の冬の味覚といえば「寒鱈(かんだら)汁」。

極寒の時期にとれる鱈は「寒鱈」と呼ばれ、脂がたっぷりのっているのが特徴。そのまるまる一尾を、ぶつ切りにして鍋に入れた、なんとも贅沢な庄内の郷土料理が「寒鱈汁」です。アラから出た旨みがぎゅっと詰まった汁に、岩海苔をかけて食べる、まさに日本海の冬を感じる一品なのです。

わが家では、冬のシーズンは毎週のように食卓に並ぶ「寒鱈汁」ですが、各家庭やお店によってその味わいも異なるそうで…。

さまざまなお店の味がたのしめる、鶴岡銀座商店街の「日本海寒鱈まつり&ぎんざ冬まつり」にやって来ました。

2023年の開催日は2月5日(日)。雪のちらつく寒い日。

たくさんの人で賑わう銀座商店街。

さまざまなお店で「寒鱈汁」を販売しています。

もくもくとした湯気で、より一層美味しそう。

さっそくお目当ての「寒鱈汁」をいただきます。

鶴岡市内の大好きなお店のひとつ『魚亭 岡ざき』の「寒鱈汁」は、贅沢に白子がのって、岩海苔もたっぷり。ひと口いただくと、冷えた身体にあつあつの汁が染み渡る。甘くてゆったりとした脂が優しく広がっていきます。しっかりと出汁が出ているのに身はしっとりとしていて、いわゆるアラ汁を想像して食べると嬉しい驚き。魚特有の臭みを全く感じさせないのは、「さすが『魚亭 岡ざき』さん!」と言ったところ。

なかには、キモ、いぶくろ、アラや身がごろごろと入っています。大きな白子が乗って、さらにトッピングの岩のりも。気になって訪ねてみると、味付けは、酒と『鷲田民蔵店』の白味噌のみとシンプル。これは「寒鱈汁」がもともと漁師料理だったことが関係しているそうです。

また、「寒鱈汁」は「どんがら汁」とも呼ばれることも。(どんがらとは、アラのことを指すそう。)その他にも、白子は鶴岡では「タツ」、酒田や庄内中部では「ダダミ」。キモ部分は「脂わた」と呼ばれ、大人気の部位です。それにしても、鱈がこんなに美味しいお魚だったなんて。横浜で育った私にとって、鱈は切り身で購入するのが一般的。その時には知り得なかった深い味わいだなぁとしみじみ感じました。

「寒鱈汁」にあわせる定番の「弁慶めし」は、青菜で包んだみそおにぎりをあぶった郷土料理です。

生たらこの醤油漬けは、ご飯にたっぷりとかけて…。これがまた美味しいのです。

寒鱈をまるまる一尾購入する方も!お家でも「寒鱈汁」を楽しめますね。

さて、「寒鱈まつり」には「寒鱈汁」の他にも沢山のお店が集まっています。今年は過去最大級の参加数だったそうで、その数はなんと57店舗…!食事はもちろん、お酒にデザート、クラフトマーケットやステージもあります。まだまだ食べ足りない私は、あったかフードを求めて商店街を歩き、目に飛び込んできたのは『中華そば カンマン軒』。櫛引地域の古民家で営むお気に入りのラーメン屋さんを見つけました。

『中華そば カンマン軒』のラーメンが銀座商店街で食べられるなんて。

外で食べるラーメンは格別の美味しさです!身も心もぽかぽかに。

ここはあえて、キリッと冷えたビールとともに。ヒヤ&アツでビールもすすむ。

さて、お腹が満たされたあとはデザート探し。鶴岡で愛される老舗の和菓子屋 『遠州屋』に立ち寄ることに。寒い冬になると、無性に和菓子が食べたくなるのは私だけでしょうか?さくっと香ばしい最中と、優しい餡。昔ながらの味わいに癒されました。

最中やようかんなどの和菓子が並ぶ。どれにしようかなぁ。

将棋の駒の形がかわいい、定番の王将最中をいただきます!

それからおまつりが終わるまで、夫とともに食べ歩き。古き良き商店街にたくさんの人が集まって、知人と出会って話してみたり、新しい出会いがあったり。寒い毎日に心も体も縮こまって暮らしがちな私にとって、こんなに楽しい日は貴重だなぁ。銀座商店街の「寒鱈まつり」は今年で35回目。庄内の人びとに愛されて、これからも末長く続いていくことでしょう。

夫が食べていた『TABELette』麻婆ヌードル。ピリッと辛くてあたたまる。

『湯田川温泉』がつくったオリジナルの日本酒はお土産にぴったり。

山形のおまつりフードといえば、出汁がしみしみの玉こん。

本屋の『あばり』が販売する秘蔵のお酒。

コンブチャやコールドプレスジュースなども。

『まちづくりスタジオ鶴岡Dada』の建築美にも是非ご注目を。

お腹も心もすっかり満たされて帰路につく。また来年を楽しみにしています。

基本情報

名称/日本海寒鱈まつり
会場/鶴岡銀座商店街特設会場
アクセス/JR鶴岡駅から徒歩約20分
鶴岡駅前よりバス約10分、鶴岡市役所前で下車、徒歩8分
駐車場/鶴岡市役所駐車場もしくは近隣有料駐車場

すずきまき

すずきまき

写真家・物書き。神奈川県横浜市に生まれ、2020年春に山形県鶴岡市へ移住。同年、庄内の自然に魅せられて創作活動をスタート。柔和な雰囲気の作風で、日々のなかにある光を写している。2022年4月には鶴岡市内の湯田川温泉にて自身初となる写真展『春眠』を開催した。 ライフワークはひとり旅。温泉めぐりと自然観察を軸に目的地を選び、現在は東北地方を開拓中。無類の温泉好きで、温泉ソムリエの資格をもつ。夫婦+2匹の猫、はるとあきとともに気ままな庄内ライフをおくっている。

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