殿!拙者も釣りがしとうございます!
由良の釣堀

パワースポット&絶景

その昔、庄内藩の武士たちも釣りを修練として奨励していた時代があるという。
夜も明けないうちから鶴岡市から浜までの10キロ程ある道のりを、庄内が誇る長さ5尺(1.5メートル)以上もある庄内竿をはじめとした釣具を担いで通ったというのですから、確かにそれは修練に他ならないでしょう。 

「庄内竿」致道博物館所蔵

「庄内竿」致道博物館所蔵

しかしただの修練にはない楽しみや喜びに武士たちが心躍らせていたであろうことも容易に想像がつきます。 
その証拠に、庄内藩酒井家第9代藩主 酒井忠徳 を始め、歴代のお殿様までもが湯治と称して磯釣りに励んでおられたことが文献にも残っているのです。

磯釣りはそんなに楽しいのですか!お殿様。
というわけで私も庄内藩の武士よろしく、釣りに行こうと思い立ったわけです。

さて、思い立ったが吉日、とばかりに磯釣りについて色々調べていると、何やら装備品が色々と必要で、そもそも釣竿を買わなくてはならないし、季節によって魚が違うやら、餌はどれがいいやらと色々と前もって知っておかなければならない知識があるようです。

ふむふむ、なるほど。
拙者こういうことは形から入るタイプなので、少々調べる手にも力が入ります。
この時代インターネットというものがあって本当に良かったなと、散々調べた挙げ句に見つけてしまいました。

そう、見つけてしまったのです。
由良海洋釣堀。

釣堀…これほど初心者に優しい釣りはないではありませんか。
というわけで、私は由良にある由良海洋釣堀を訪れたのでした。

由良は海の綺麗な漁師町。海に浮かぶ白山島が印象的です。 
その白山島に釣堀はあります。

今回は取材ということで、釣堀を案内してくださった由良自治会活性化委員会会長の遠藤さんに手ほどきを受けながら、早速釣堀釣りに挑戦してみました。
さあ待望の釣りです。

遠藤さんは早速長い一本竿の釣竿を渡してくれました。
これはまさしく現代の庄内竿。リールもない、この潔い一本竿こそ庄内藩武士の釣りに相応しい最高のアイテムです。
俄然やる気が出てきました。

私「遠藤さん、今はどんな魚が釣れるのですか!」

遠藤さん「今は石巻から買ったギンザケを釣ることができますよ」

私「…石巻。…ギンザケ?」

いやいや、ギンザケとて海の魚に違いありません。
太平洋側から遠路はるばるお越しいただき日本海に放たれたギンザケと、竿と針で通わすコミュニケーションを楽しもうではありませんか!

私「遠藤さん、これがエサですか。もしやえびですね!」

遠藤さん「オキアミだね」

私「…オキアミ?」

オキアミはプランクトンの仲間

  

少々の困惑を隠せないでいる私を尻目に、颯爽と釣堀に針を下ろし始める遠藤さん。
餌を針に通すことすら手間取っていると、何やら釣堀の海面がにわかに騒ぎ始めたのを感じます。
視線を海面に向けると、早々に遠藤さんが釣り上げた一匹のギンザケがきらりと鱗を輝かせているではありませんか。

早い!早すぎます。

なんて早さですか。

これぞ武士道。さすがベテランは違うなあと、ようやく私も釣堀に竿を向けてみます。
その途端、一匹が落とした針めがけて泳いでくるのが上からもわかるのです。

次の瞬間ビビビッと心地よい振動が竿ごしに伝わりました。

まさか!と思っていると、遠藤さんからゆっくり竿を上げるようにアドバイスが。

言われた通りに慎重に竿を引き上げると、糸には先ほどと同じ大きさの魚がぶら下がっているではありませんか。

早い!早すぎます。

ものの数秒の出来事にあっけにとられていると、遠藤さんが慣れた手つきで針から外してくれました。 

釣り初心者でもあまりに釣れることから、特に子どもたちは大喜びで遊んでいってくれるとのこと。
一瞬、早々に釣りの才能を開花させてしまったかと思った自分を恥じながらも釣れた竿の余韻に浸るのでした。

今回はギンザケのみでしたが、海水の温度が上がってくる6月中旬以降は庄内で獲れた旬の魚を釣ることができるそうです。
その季節ごとに獲れる魚は変わってくるそうですが、イシダイ、イナダ、カレイ、メバル、ウマヅラハギ、マダイなどなど、食卓でもおなじみの魚を釣ることができるそうですよ。

営業日となれば釣り客で賑わう

 

基本的には土日祝のみの営業となっていますが、海水浴シーズン(7月16日(土) ~ 8月16日(火))は毎日営業とのことですので、ぜひとも由良の海と一緒に気軽にできる釣堀釣りも楽しんでみてはいかがでしょうか。

少々当初の思惑とは違う部分があったものの、無事に釣りデビューを果たすことができた私。
さて、次はどんな釣りに挑戦してみましょうか。

次回へつづくこともあったりなかったり。

海の青さが印象的な由良の海

 

基本情報

名称/由良海洋釣堀
営業時間/9:00 〜 17:00
営業日/令和4年 4月23日(土) 〜 10月16日(日) の土曜、日曜、祝日のみの営業
GW期間と海水浴シーズン(7月16日(土) 〜 8月16日(火))は毎日営業
※魚の生育状況や天候により予告なく休業となる場合もあります
電話 / 0235-73-2666
料金 / 大人 1200円 小人(中学生以下) 600円 見学のみ 100円
アクセス/JR鶴岡駅から車で約24分
ホームページ/http://www.yura-yamagata.jp/page-tourism/

土田貴文

土田貴文

写真家。 庄内に生まれ、一度は映画製作を志し庄内を離れましたが、また生まれ故郷で暮らしています。 子供のころには気づけなかった庄内の魅力。庄内を離れたからこそ少しずつ気づけるようになりました。 映画製作を勉強する過程で学んだストーリーを表す力で、目に見えるものだけでなく、想いや感情もお伝えできればと思っています。 とはいえ、特別なことばかりではなく、日常にひそむ面白さや楽しいところをうまく取り上げることができればいいなと思います。 ぜひ地元のワクワクを皆さんとも共感したいです。 庄内。きっと気に入っていただけるはずです。 好きな食べ物 / 鶏肉 最近興味のあるもの / 少し前のマンガ(とくにガロに掲載されていた作品) 妻は陶芸家の土田英里子。 夫婦でオンラインショップ「日々のうつわ店」(https://www.instagram.com/hibi_utuwa2018/)の活動もしています。

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